無毒トラフグ革命

トラフグの毒テトロドトキシンは餌で決まる

フグの毒はどのような印象でしょうか?

食べたら死んじゃうとかフグの身にはないけど内臓にあってすごいヤバい毒でしょ?

このような感じではないでしょうか。

 

それは決して間違いではありませんし、その通りです。

事実昔は多くの人がフグの被害にあい、亡くなられました。

しかし現代ではフグの生態や毒に対する知識も認識も大きく変わってきたのです。

 

そこで昔のまま捉え方が過剰すぎるという背景がある中で、ここではフグ毒の解釈というものをもう少しだけ深く知ってもらおうと思っています。

少しだけお付き合いください。

フグ毒はいつ発見されたもの?

フグの毒は炭素、酸素、水素、窒素からできたとても複雑な高分子です。

歴史を見れば薬学者の田原良純博士が初めて分離して1909年に「テトロドトキシン」と命名してその名前は世界中に知れ渡ることになりました。

しかしその当時もハッキリとした構造は特定されず、60年代に日米の3つのグループが一番乗りを目指して解明に挑み、64年に京都で開かれた国際会議で同時に成果が発表されたのです。

 

フグ毒はどれほど毒性が強いのか。

もしも人が口にしてしまった場合、呼吸困難を引き起こしたり、最悪の場合死に至るものです。

致死量は1~2ミリグラムと物凄く微量でも強い毒性を持っていて、青酸カリの約850倍の強さと言われているほど。

自然界の毒では最強の部類の一つなのです。

 

フグは自分の毒『テトロドトキシン』でなぜ死なないのか。

これは多くの方の疑問ですよね!蛇とかも同じくなんで自分の毒で死なないのか。

これはフグが人間とはたんぱく質の構造が違っているのでテトロドトキシンがくっつかないんですよね。

だからようはフグにとっては毒じゃないって事です。

でもフグはなんで毒を蓄える生態になったのかって?理由はまだよく分かっていません。

この毒を使って狩りをしているとか、危険回避とか、フェロモンの一種では?などと様々いわれていますが、

未だにそこだけは良く分かっていません笑

 

では本題のフグはどのようにして体の中に毒を生み出しているかと言う所です。

 

フグは餌によって得た毒を体内に蓄積させている。

昔はフグの毒はもともとフグに存在しているのか、自分で作っているのか、外部から取り入れているのか…

長く議論が続いて解明されなかったのですが、人工養殖によって結果が判明しました。

フグ毒は 底生生物(ヒトデ、貝類、毒性のある海藻類など)などの生物を食べることで、その生物の小さな毒を溜め込んでいき、 体の中で濃縮して強くする「生物濃縮」によって作られていたのです。

海中にいる底生生物、小さな貝やヒトデ、藻類などに毒をもっている生物がいて、その毒性自体は微量なのですが、

フグはそれを食べて小さな毒を溜め込むため、人が食べたら死んでしまうほどの猛毒をトラフグは肝臓や卵巣に蓄えられる状態になっていたということです。

そのため、毒を持った生物から毒成分を取り出し蓄えるような構造で、人工養殖によって毒のない餌で管理されて育ったフグには微量な毒を蓄積させる事ができません。結果的に研究を繰り返しても人工餌で育ったフグからは既定値以上の毒が検出されなかった事で発覚しました。

 

つまりフグは養殖で餌の管理さえ徹底してしまえば毒を蓄積させる事が出来ないのです。